僕のオタク・サブカル思い出(39)

  現在高校生の僕の息子は、高校生になるまでスマホ、タブレット、PCなどの情報機器は特に与えていませんでしたが、高校入学の頃までには立派なオタクに成長していました。いや本当なんです別にオタクっぽいコンテンツを与えてたとかもないし、中学まで家ではマンガもコロコロくらいしか読まなかったような子なんですよ。
 ただその過程が実に現代の子だなあと思ったのは、その入り口が「ニンテンドー3DSのYouTube」だったってことですね。これは完全に盲点でした。そこからネットミームに汚染されていき徐々にオタク化していったという流れです。まあミーム汚染されるっていうのは元々オタクの素質があるからなんですが。しかし何がきっかけになるか本当にわからないものですね。

 最近はオタクコンテンツもそこらじゅうにあふれてきており、そういう趣味があることが特殊とも言えないってくらいに浸透しているのを感じます。お茶の間でTVer使ってテレビ番組見てたらウマ娘のCM流れてくるとか普通ですもんね。89年のあの事件以降しばらく根深かったオタクへの白眼視は、実際に僕ら世代に暗い影を落としていましたが、その白眼視されていた世代のオタクが親世代となったことで徐々に変化しているように思います。
 もちろん田舎特有の目は普通にあるんですが、それでも今の中高生はボカロや東方を普通に摂取していますし、推しという生き方があることを当然のこととして受け入れているように見えます。まあ僕ら世代のオタクにとって一般層向けのマスメディアは敵と認識しているところもあって、マスメディアのオタク文化を取り扱うときにたまに見受けられる浅い理解を見るとまだ苦々しく思ってしまいますけど・・・。
 「あそびにいくヨ!」が地元を舞台とした内容だっただけでも驚きだったのに、「沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる」(通称「沖ツラ」)はアニメ中に出てきたエリアが聖地として観光マップにされるまでになりましたし(家から車で10分の場所がアニメに出てきたときはさすがにびっくりした)、県内企業もイメージキャラクターとして引用するケースが多くなっています。まさか社会貢献にまで発展するなんて、僕らの時代ではちょっと考えにくい話でしたよね。

 そしてこの10年ほどで情報と物資に対する「飢え」もかなり少なくなっていますよね。通販するのも簡単になったし、アニメも(モノによってはお金を払う必要はあれど)タイムラグが殆どない状態で見られるようになったし、マンガやゲームはむしろ配信が当たり前になっています。
 県内でも十数店舗展開されているGEOでは、最近徐々に「レトロゲームの販売再開」「プラモデルの販売」をやってるところが増えてきていて、オタクからすると「マンガもアニメもゲームもプラモも全部近所にある!!!」というとんでもない環境が出来つつあるんですよ。

 またクリエイター側にとっては、活動する人たちが集中する大都市圏に居る方が有利なようにも思えますが、情報のやりとり自体はネットを介してかなり容易にできるようになりました。何なら地方に住んでいることが逆にアドバンテージになる可能性もあります(そういう意味では「沖縄出身・在住」ってそれだけでちょっとブランド化できるのは今となってはありがたい話)
 2000年前後くらいは沖縄アクターズスクール出身の人たちを中心に沖縄ブームが起こってましたが、そのブームから離れた現在でもあらゆるジャンルで沖縄出身の人が活躍の場を広げています。僕が主戦場としていてるテクノ界隈ですら、子と同い年のDJに2人も出会うことができましたし、創作や表現でもツールの進化がすごい勢いなので、どんどんはドルが下がっていくことで作り手側に回る人もどんどん増えています。20年くらい前だとそのツールを手に入れるのも大変でしたが、今は手元のスマホで大概のことができてしまうので、沖縄だから不利!ということも少なくなってます。

 2026年現在、あまりに情報が溢れすぎて「多様性」という言葉の意味もよくわからないほどにいろんな生き方があることが知られだしています。かつて生きにくかったオタクも(まだ全然カバーできてない部分はありますけど)テレビで「オタクは悪だ」と共通敵に仕立て上げられていた時代と比べたら嘘みたいに優しくなってますよね。
 日本の最南端で陸路で行くことのできない沖縄の、厳しすぎる荒波に揉まれた氷河期世代で、さらに生きにくかった僕らのようなオタクがオタクのままでしぶとく生き残っていられたのは、神野さんたちとさらにその上の世代が諦めなかったという証拠でもあると思います。だからこそこの先も多分生きにくいであろうオタクの活力になれるような環境を僕らも守っていかなきゃなあと思うのです。

 ということで、僕の思い出はここで締めさせていただきます。続きはまたいつか。

(38)に戻る / 目次へ