pixivFANBOXは「自分で作れるファンクラブ」なのかっていう話。

お絵かきさん向けにSNS機能付きで絵が置けるサイトでおなじみ「pixiv」のサービスのひとつ、「pixivFANBOX」に音楽投稿用の機能がついたよ!ってんで試してみました。



 pixivFANBOXは「クリエイターへの支援のため、クリエイターが人にに月一回定額のプランを作成し、そのプランに加入した支援者のみ配信できる」というサービス。月○○○円の支援者には○○を提供します!っていうのが設定できるので、これまではイラストレーターなどが支援者限定で絵やマンガを配信していました。
 そのFANBOXに音楽投稿機能がついたよ!ということだったので、とりあえず無料で使えるんならアカウント取ってみるかなあ~という程度で始めてみましたよ。


アカウントを取得すると、最初に行うのは「プランの作成」。月おいくらでどんな事しますか、ということを設定するものです。プランのタイトルや説明の他、プランに加入した支援者向けデジタルメンバーズカード的なものも設定するようです。

投稿できるのは5種類。左の「ブログ」は通常の記事、それ以外は未加入者も読めるかどうかを選択できるものになっています。音楽は一番右の「動画・音楽」の方からいくみたいです。

音楽の方は、提携しているサイトにアップロードしたものをURLで指定し貼り付ける形です。YouTube・Vimeo・SoundCloud・PawooMusicに対応とのこと。YouTubeとか「リンクを知っている人だけ観られる」みたいなオプションにして貼り付けしちゃえばいいのかな。
 たとえばボカロPの場合、制作した動画をこっちに貼り付けて先行公開とかできそう。バンドなど生演奏の人やDJはライブ映像を貼り付けるというのもありそうですな。

僕の場合、曲を配信しているので「新曲、過去発表しているが今配信してない曲」などなどを定期的に配信できる場所として利用するために「ファイル」の方を使ってみました。大変便利なことに、画像やmp3だけじゃなくwavファイルも置けます(1ファイルあたり300MB以内ならOK) これ、曲だけじゃなくてDJミックスとかも置けるから良いかもしんない。
しかも複数アップロードできるんで、wavとmp3と曲イメージをまとめてアップロードできちゃうの結構便利。

こんなカンジで表示されます。


 さて、そうなってくると考えなきゃいけないのは「pixivFANBOXはどんな人が使うと効果的なのか?」という点。pixivでは月額制のFANBOXの他に、通販・デジタル販売サービス「BOOTH」もあって、こちらは商品としてコンテンツを販売できるんだけど、FANBOXとBOOTHの使い分けするならどう考えるべきか?

FANBOXの特徴

  • 定額プランで定期的な対価を得やすい
  • 金銭的なハードルにより固定ファンを視認しやすくする
  • コンテンツ配信の機能は一通り揃っている

BOOTHの特徴
  • オンライン通販を気軽に始められる(しかもデジタルだけでなく本なども販売でき、通販も仲介配達可)
  • 同人界隈で定着しているのでハードルは低め
  • BOOTH FestivalやAPOLLOのようなイベントもあり活性化の流れが公式である程度用意されているので告知もしやすい
 で、僕はすでにbandcampで曲を配信しているというのもあって、bandcampに配信するまえにこっちで先行配信し加入者はDL可、という形で構えてみましたが、色々と考えなければいけない点があることが徐々にわかってきました。

加入のタイミングでお得度が変わる?

 例えば何も考えずに「加入してる人向けに曲を置いとくので好きなだけDLしてね」と記事を置いとくと、数ヶ月前に加入した人と昨日加入したばかりの人が同じ量恩恵を頂けるというのはちょっとフェアじゃないよね、という話になるでしょう。
 なので曲の場合は公開期間を限定しておくとか、今月加入した人へ!とかで過去曲ちょっとだけ放出したりするといったことも必要かもですね。

買い切りと月額をどう使い分ける?

 先程書いたように、同じpixivのサービスにBOOTHもあるので、すでにまとめられたものはそちらで販売したほうが買う側も使いやすい、という場合もあるでしょう。マンガやら同人誌なんかだと、先にイベント等で頒布した本の内容をFANBOXで公開する、っていう使い方も出来るんだろうけど、FANBOXで連載してBOOTHで頒布っていうのもあるかもしんない。
 そうなると、音楽の場合はどうしよう。よくある音楽配信サイト1曲単位だと大体数百円単位になるけど、FANBOXのプランも100円が最低金額になっているので、金額的には大体近くなる。bandcampで1曲1$で販売していると、月1曲だと「それ後でbandcampでまとめ買いかな」ということにもなりかねない(ドルレートの話は置いといて)
 もし付加価値を付けるんなら、さっき書いたように「ここでしか見れないもの」を用意しないといけないわけで、ライブ映像みたいに手に入りにくいけどファンは欲しがりそうなものとかが向いてるんだろうなと。
 僕の場合これが原因でFANBOX使う理由があんま無いなーって思い直してます。だってそもそもbandcampの方そんなに曲売れてないし・・・。

ファンとの距離感はどうなる?

 おそらくこのFANBOXは「すでに一定以上ファンがいる人が強い」ということになりそうです。絵描きの人はこっち限定の落書きが定期的にアップロードされるだけでも価値がある!ということになりそうだし、音楽やってる人も支援者限定イベントや曲の試聴なんかが考えられそう。
 しかし、そのくらい熱のあるファンが集うとなると、まあまあの人数ファンが支援しはじめたときに「金払ってるんだからなんかよこせ」という風に傾く可能性も無くはないんだよなあ、ってのもちょっと気になってます。せっかく月額払って貴重な意見を提供してるのに○○さんは何もしてくれない!不誠実だ!みたいなのがTwitterで流れるとか有りそうだなあ。こういうのにどう対抗できるのかは、そういうのに会ったことがないので不明なんですよなあ。

FANBOXは自前で作れるファンクラブ

 このあたりを総合すると、つまりFANBOXはファンクラブを作れるシステムということなのかなーと思いました。もっと極端に言えばパトロンですな。逆にいうと、誰でもその恩恵を受けられるというものではなさそうではあります。
 定期的にコンテンツを提供できて、且つSNS疲れしている貴方にはピッタリかもしれません。初期費用なしで使えることを考えればかなり強力なツールだと言えるんで、気になる人はとりあえず試してみましょう!(取って付けたような締め)