PCDJにおける「DJコントローラ」の得手不得手などをなんとなく考える

 

 先日、中古でNumarkのMixtrack Proを発見したので思わずゲットしてしまったわけなんですね。結構お安く買えたので、おもちゃとして買うにはちょうどいいだろうという感覚。

 僕はPCDJを初めてから10年以上経つんですけど、この手の環境にかけるお金も限られているためDJコントローラは高嶺の花だし、そもそも作曲環境もマウスとキーボードとヘッドフォンだけの最小構成でやってるので、DJもそっちに併せていきたいよねということでコントローラなしプレイを決め込んでおりました。

 そんなわけで、金が無くて気軽にDJコントローラが買えないのを逆にキャラとして主張するために、周りには「いやーDJコントローラなくても充分プレイできるんスよ!時代はミニマリストっすよ!」などとアゴ肉を震わせて吹聴していたわけなんですが、ここで敢えてDJコントローラを導入することで「本当にDJコントローラ無しでも充分PCDJは楽しめるのか?」が検証できるというわけです。


 さて本題。今回DJコントローラを導入して軽くいじってみた印象から、DJコントローラの有無による操作方法の違いと、導入の利点・難点を僕の偏見で無責任に書いてみます。

 なお今回の記事ではPCDJ界における不動の最強DJソフト「TRAKTOR」を使用している場合を基準に記載しています。なにしろ無料だし使いやすいからね!オススメだよ!あとMixxxも良いよ!


DJコントローラを使用してPCDJする場合
  • 一度DJソフトを起動すると、それなりのグレードのコントローラならキーボードやマウスも必要とせずコントローラのみで操作できる。
  • ツマミとフェーダーが触れるという直感的な分かりやすさは非常に心強い。レコードやCDJでのDJに慣れ親しんでいる人は圧倒的にこっちの方が使いやすい。
  • とはいえ、実際にDJブースに持ち込むと大体置き場に困る。優しいスタッフは「タンテの蓋の上に置いても大丈夫っすよ!」って言ってくれるんだけど、その下のターンテーブルを使うレコード派のDJにもちょっと遠慮しちゃうよね・・・。なので、よくあることだけど「ターンテーブルを跨いで設置できる折りたたみ型PCDJ用ラック」みたいなのも結構売ってる。
  • コントローラの機種によってかなり操作のしやすさが変化するんじゃないかなって気がする。
  • (個人的意見:そもそもソフト側のSYNC機能使うんだったらターンテーブル要らないよね?ってなる。SU-10についてた横方向のエンベロープでよくねえ?)
  • あとジャンルによっても得手不得手がある気がする。4チャンネルEQ対応コントローラって少ないよね?
  • DJやってる!って気になれる。結構重要。ツマミとかいじってミックスするのやっぱり楽しいからね。


DJコントローラ無しでPCDJする場合

  • 初期費用は2ライン出力可能なオーディオインターフェースとヘッドフォンのみ。
  • 操作は基本キーボード、フェーダーやツマミを動かすときにマウスを使う(のでノートPCでタッチパッドが望ましい)
  • ちなみに全部キーボードで操作する猛者もいるらしい。フェーダーの上下等も全部キーボードに割り当てるんだとか。僕の場合はEQのKILLのみ。
  • ツマミを2つ以上同時orツマミとフェーダー同時、のような操作はほぼ無理。なのできめ細かいフェードインとかはかなり難易度が高い。本来ロングミックスの多いテクノには向かないが、カットインが多いアニソンとかだと実は問題ないかも。
  • 使用機材が少ないのでセッティングが比較的容易。バッテリーに自信のあるPCなら、家でネットワーク接続を切った状態で蓋閉めて持ち込んでしまえば、ブースに入って5分で音が出せる。
  • 入力デバイスのトラブルに対しても強い(最悪キーボードもマウスも外付けできる)
  • 何をしているのかがプレイしている本人以外に伝わらないため、見た目に非常に地味。

 PCのみDJは正直細かい操作が苦手なので、繊細なミックスをするようなプレイスタイルの人には合わないかなと思います。あと操作感の良さや楽しさで言えばどう考えてもコントローラに分があるよねえ。
 とはいえ、PCのみは場所を選ばずだし機材トラブルも最小にできるうえリカバリーもしやすいので、これからPCDJを始めようという方は質実剛健でこっちのほうも習得しておくべきではないかと思いますよ。
 なお、この両方の良さを兼ね備えてるのが「クラブの機材に頼ってレコードorCDJ」ということになるんだけど、それを言っちゃうと身も蓋もないんだよなあ・・・。


おまけ1:DJコントローラでPCDJするときのPCの方はどんなのが良いか問題

 僕はここ10年以上PCDJでプレイしつづけているんですが、当初は曲作りをする端末と兼用してたので、作曲環境に併せてA4サイズノートを選んでました。
 だけど、12インチのやや小さめなPCでもTRAKTORの場合ライブラリモード(指定のボタンを押すと画面下部のライブラリが最大化される)で曲が探しやすいので実は全然不便なことがないということに気づいてしまいましたね。

 あと、クラブで遭遇しがちな苦境は「機材の置き場」「電源確保」というあたりで、そういう意味でもDJコントローラが場所とりがちだからこそPC自体はコンパクトなものを選ぶのが正解だと思います。
 なので、クラブで使うことを考えるとPC側は下記の条件が揃うのが望ましいのかなあ、というポイントを箇条書きにしてみました。
  • 12インチ以上のモニタのノート+PCに近いサイズのDJコントローラ、または10インチ程度のタブレット型PC+DJコントローラ
  • 電源は専用ACアダプタよりUSB Power deliveryが望ましい(コンセントの空きが無いことを想定してモバイルバッテリー持参)
  • できるだけ早いCPU(せめてcore i5とか)
  • できるだけマックスの状態のメモリ
  • ストレージは問答無用でSSD
  • 水ぶっかけられたりブースから落とされたりしても大丈夫なくらい頑丈な筐体(という意味でもThinkPadは最高)


おまけ2:それ以外の選択肢

 PCで曲を管理・ミックスできるほか、USBメモリに曲入れて対応機材に差し込むと機材から直接曲を読み込んでミックスできたりする(らしい。僕は使ったことないので。)
 大都市圏のクラブだとミキサーが対応してるとかそこそこあるっぽいので、そっちで管理しているという人も多いみたいです。

iPadでTraktor、Djay、Pacemakerなど
 タブレット端末でDJプレイができるので非常にコンパクトにセッティングできます。操作は直感的だけどミキサーやDJコントローラほどではないので好みは分かれるところ。
 個人的に残念なのはAndroidでこれ系のアプリがまだまだ貧弱ってとこ。もうちょっと充実してくれないかなあ。

スタンドアロンタイプのデバイス
 GODJなど、そのデバイスだけですべて完結するコントローラも少ないものの存在はしてます。旧Pacemakerとか。