ハードミニマル作曲講座:(7)リズムにコンプレッサーをかけてみると

 ハードミニマルと呼ばれる曲は、ハードな印象を与えるためにわりと激しめのキツイ音が鳴ってることが多いですが、音の雰囲気作りに貢献するエフェクターが「コンプレッサー」です。
 コンプレッサー(以下コンプと表記)は「小さい音を大きくして圧縮する」みたいな効果があります。詳しくは検索して確認して欲しいところですが、あなたが既にDAWを手にしているのであれば実際にコンプを通したときの音の違いを聴いてみると解るでしょう。
 コンプは小さい音を大きく聴かせる効果があるので、鳴っている全ての音を大きめにしてくれることから、わりと安易に音の迫力を稼ぐことができるツールとしても乱用されてしまう傾向にあり(僕もそうなんですが)、結果として汚い音になってしまうことも多々あるんですけど、それでも使いこなせば非常に有能な武器になり得るものです。

Propellerhead Reason9でのコンプレッサー。
結構優秀です。リミッターと組み合わせるとイイカンジ。

背面。僕は最近になってこのコンプにちゃんとサイドチェインが
ついてる事に気づいたんですが、多分4くらいからありましたよね・・・。

 コンプの影響下にある音は、大きい音はそのまま大きいまま鳴らすか大きすぎればある程度圧縮して平均化、小さい音は音量を持ち上げて平均化、という方向で音を加工していきます。絵的なイメージで言うと、自分から見てAさんは手前でBさんが奥の方にいるとこを、床に線を引いておくことで線に従い二人が大体同じ距離に立つような感じです(実際に大きい音を圧縮するのは正確にはリミッターというエフェクターを使いますがここでは割愛)
 なので、小さく鳴っているはずのノイズも拾って大きくされる可能性があり、これが音の汚さにつながるのです。あと過度に残響音を持ち上げてしまったりとかね。

 で、僕はハードミニマルを作るときに「後ろでドラムループをちゃかぽこ鳴らして賑やかにする」という手法をよく使います。んで、そういう音の重ね方をすると「ドラムループのアタック(音の鳴り始め)が4つ打ちのキックに重なってキックが聞きづらい!」みたいなことにもなるんですよねー。そういうときにコンプを使うと、キックとドラムループを無理やり馴染ませるということも可能になってきます(まじかよ)
 リズムループのアタックを敢えて若干弱めに設定しておいてコンプで持ち上げてしまうという手法を使うと、ひところのスウェディッシュミニマルみたいな音が鳴るのでイイカンジです。

 また、サイドチェイン(エフェクターのかかり具合の強弱を、別の音をトリガーにして変化させちゃうという機能)でキックのときだけきつくコンプがかかる状態にすると、EDMのすごい身の詰まったような音になります。
 サイドチェインは最近のDAWでは標準になりつつある機能で、僕が使ってるFL StudioやPropellerhead Reasonでも使えるので、まずは一度実験してみるのをオススメしたいところ。


 では例によって、リズムループの音の出し方とコンプをかけたときの印象の変化を動画にまとめてみたので参考までにどうぞ。